「自分の好きなことで人の役に立つことができたら…」
―― 寺村さんがファッションに興味を持ち始めた時期やきっかけについて教えてください。
寺村 元々はファッションそのものよりも裁縫をすることが好きだったんです。母の影響で小学生の頃から小物を作るのが趣味でした。ファッションに意識が向いたのは、中学校3年生のときでしたね。
―― 生地や糸を使ったものづくりという点では、早くから縁があったのですね。そして、しばらく経っていよいよファッションが気になり始めるという。
お気に入りの古着を着て美術館へ
寺村 中学校の卒業が迫るあたりで、進路を考えることが増えました。自分の中にある軸は今も「人の役に立つ仕事をしたい」です。当初イメージできていたのは医療や介護など直接的に人を支える仕事でした。でも、間接的だったとしても、自分の好きな裁縫で誰かを支えることができるんじゃないかと思い、行き着いたのがファッションの仕事だったんですね。
―― 自分の軸と好きなものが繋がった瞬間ですね。
寺村 はい。得意分野を活かして誰かの支えになれるなら、こんなに嬉しいことはないなと。総合学科だった出身高校の選択授業では服飾を選びましたし、卒業後はファッションの学校へ進学したいという気持ちも強くなっていきました。
「製作した作品から伝わる一人ひとりの個性」
―― そういった経緯でファッションの学校に進学を決めたのですね。寺村さんの思うこれはファッション学校あるいはファッション学生ならではだなと感じることは何ですか?
サマーフェスタ 2022作品「輪廻転生」
寺村 境遇や考え方が様々な人が集まっていて、一人ひとりが製作した作品に触れて個性を感じられることが興味深いと感じます。デザイン画や作った洋服に個性が詰まっていて、いつも刺激を受けています。過ごす時間が長くなっていくと、「この子っぽいデザインだな」ってわかるようになりますね。例えば、ディテールへのこだわりとか。
―― 作品から友人の一面を知ることができるというのも楽しいですね。逆に寺村さん自身も、普段製作している作品を通じて友人たちに人柄を知ってもらえているのかも。
サマーフェスタ 2022オフショット
寺村 そうだと思います。「っぽいね」って言われることもありますし。その他には洋服を買いに出かけるとき、服の縫製の細かい部分や全体のバランスが気になるようになったこともファッション学生ならではです。目に映る服全部が参考作品ですね(笑)。
「描き方に縛りはない。だからこそ生まれるアイデアがある」
―― 気になったことがまた、自分の作品づくりに活かされそうですね。寺村さんの好きな授業について教えてください。
サマーフェスタ 2022 デザイン画
寺村 ファッション分野に進む後押しになった服飾の授業はもちろん好きですし、スタイル画を描く授業も好きです。先ほどの個性の話とも関連しますが、描き方も人によって全然違うんです。
―― 意外です。最終的な仕上がりは一人ひとり異なっていても、その過程には一定のルールみたいなものがあると思っていました。教わるのはみんな同じ先生ですし。
コンテスト用デザイン画
寺村 先生は「基本的な描き方や応用パターンの例は教えるけども、それを踏まえて自分に合った自分なりの描き方を見つけてほしい」というスタンスでいてくれます。だから私も、基礎の部分はしっかりと意識しつつも、自分の描き方を模索して作品つくりに励むことができます。
―― ひとつのクラスの中でたくさんのアイデアが生まれそうです。学生たちがiPadでスタイル画を描いている姿を目にしますが、画面に映っている絵は個性が溢れていますよね。
寺村 縛りがないので自由な発想が生まれますし、何よりも楽しく学ぶことができます。
「目標はボーダーレスなファッションを創れるクリエイター」
―― 楽しみを感じてモチベーションを保つことは学ぶ上で大切な要素ですよね。寺村さんのこれからの目標は何ですか?
自分で作ったジャケットでお出掛け
寺村 将来的には多様性とデザイン性を兼ね備えた服作りに携わりたいと考えています。例えば、性別だったり、障害の有無だったり、そういった括りに囚われずに着ることができて、デザイン的にも優れている服を作りたいです。
―― 目標として定めている方向性が最初に投げかけた質問の答えと結びついていますよね。寺村さんにとっての原動力はやっぱりそこにあるんだなと。
黒×柄シャツでモードに
寺村 はい。「人の役に立つ仕事をしたい」から始まった進路ですから。今はもっと作れる服の幅を広げていって、どんな人がどんな服を求めているのかニーズを汲み取りながら、学び続けたいと思っています。
―― ずっと変わらない強い思いだというのが伝わってきます。
寺村 就職活動の折には同じようなマインドで事業を行っているアパレル企業を探そうと思っています。誰かを支えられる服が作れることを自分の強みにできるように努力していきたいです。
―― 企業の情報収集の際にも是非学校を頼ってくださいね。応援しています!
先輩が学んでいる学科
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