「ファッション初心者にもおすすめ!真似しやすいストリートファッション誌」
―― ファッション誌『mini』の印象はどうですか?
鈴木 『mini』と言えば、やっぱりストリートファッションを取り扱ったファッション誌ってイメージです。それと、情報がぎっしり詰まっていながら誌面がすっきりしていて、とても読みやすい雑誌でもあります。中学生、高校生の頃からずっと読んでいます。
藤山 真似しやすいコーデも抑えながら、新しいコーデの提案もしてくれるイメージがあります。取り上げられているコーデはどれも親しみやすくて、ファッション初心者でも手が出しやすいのが好印象です。もちろん斬新で意外な組み合わせもあります。
梶原 幅広い年齢層の読者を意識しているファッション誌ですよね。モデルさんも幅広い年代の方が掲載されています。宝島社の『mini』編集長さんからの事前講義を受けたときに、「10代〜40代までに支持されるファッション誌作りをしている」とお話を聞きました。
「みんなの意見が合わさったページテーマ」
―― 今回のページのテーマは「ストリートアイテム着まわし ON&OFF」ですが、このテーマになった経緯を教えてください。
鈴木 それが…お風呂で思いついたんですよ!
藤山・梶原 (笑)。
鈴木 これ、ほんとです(笑)。「ONとOFF」ってところまではお風呂で、その後みんなで集まって話し合いました。
梶原 最初に美春(鈴木)が持ってきてくれた案をみんなでアレンジしていったんですよね。「ONのコーデにはマスク入れたいね」って言ってくれたのは沙織(藤山)だったし。
鈴木 「ONとOFFで同じアイテムを着回ししよう」って方向に企画のテーマが固まったのも、みんなで意見を出し合ったからこそですね。
「メインの着まわしアイテムを活かしたコーデに」
―― 着まわしアイテムとして、パーカー、ワンピース、ラインジャージの3点が取り入れられています。どのアイテムも「ONとOFF」で全然違った印象に変わっていて驚きました。今回のコーデのポイントや意識していたことはなんでしょうか?
藤山 『mini』は小物の特集が多いので、小物を使って変化をつけることを意識しました。「ON」のときは小物で色をプラスしてあげています。また、今回は人気ブランドの「WEGO1」にリース2に行き、同ブランドでほとんどのアイテムを揃えました。真似しやすいのもポイントです。
1 WEGO…ストリートを中心に幅広いファッションスタイルを提案するアパレルブランド。
2 リース…アパレルブランドのプレスルームで目的のスタイリングに合うアイテムを借りること。
鈴木 家と外のどちらのシーンでも、着ていて違和感の無いメインアイテムを選ぶように気をつけていました。企画段階だと柄スカートも検討していたんです。でも、進めていくうちに「実際にOFFで着る?」って疑問に思ってナシにして。最終的には企画に上手くハマる3つのメインアイテムに絞り込みました。
梶原 メインアイテムが埋もれないようにすることも意識しています。特に「ON」だとアイテムの数も色も増えるので、はっきりこのアイテムがメインって伝わるコーデにするのは難しかったです。あとは、色目ですね。例えばパーカーは真っ白ではなく少しクリームがかった白を選ぶことで、より春っぽくて柔らかいあたたかみがあるような感じを演出しています。
「今だからこそファッションアイテムとしてコーデに取り入れたかった」
―― 先ほど「マスク」というキーワードが出ましたが、ONのコーデにはどれもマスクが取り入れられてますね。今の時期を捉えていて、面白い試みだと思いました。
藤山 ありがとうございます。最初は、「もしかしたら発売する頃には感染症もおさまってるんじゃないかな?」と思ったのですが、春はもうひとつ世間を悩ませる花粉症があるので。コーデにこの縛りを設けたままにしました。
鈴木 そこに目が向いたということは、まさに私たちの狙い通りです(笑)。
―― ここまで感染症が広まる以前は、マスクとコーデは別物とばかり思っていました。
梶原 マスクをファッションアイテムのひとつとしてコーデの中に入れるのは難しかったです。他のアイテムとの兼ね合いの中で、「このマスクだと目立ちすぎる」とか、「このマスクだとただのマスクに見えてしまう」とか、バランスに悩みながらどれを採用するか考えてました。
藤山 ファッションの学校に来てからだと思います。普段着けてるマスクが気になり出したの。
鈴木 わかる!いかにも「マスクです」ってマスクは避ける人もいるもんね。
藤山 そう。でもそれはファッションの学校ならではかも。
―― もしかするとこの誌面を見た人は、「これからはこういう風にマスクをファッションの中に取り入れればいいんだ」ってヒントを得られるかもしれないですね。
藤山・鈴木・梶原 (そうなったら)嬉しい…
「現場の雰囲気作りの大切さ。まずはコミュニケーションから」
―― 皆さんは今回、ページの企画だけではなく、実際にスタイリストとして撮影にも参加してますよね。そこで得た発見や学びを教えてください。
鈴木 モデルさんにめちゃくちゃ話しかけることです。
藤山・梶原 あー(笑)。
鈴木 最初の方は私たちみんな緊張して静かな撮影だったんです。黙々と仕事するみたいな。でも、緊張しているのは私たちだけじゃないというか。モデルさんだって、初めましての人達の中に入っての撮影ですし。私たちが緊張したままだと現場の雰囲気も堅くなりますよね。だから、積極的に行こうって。
梶原 少しずつ和らいでいったよね。かわいい写真が撮れたときはみんなで「かわいい!」って言ってたよね。
鈴木 最後の方はすごい盛り上がりました。「かわいい!」って言いすぎるから、モデルさんには「授業の一環で褒めてるんですか?」って言われるくらい(笑)。
―― あまりにも「かわいい!」って盛り上がるから疑われてしまったんでしょうか(笑)。
鈴木 そうです(笑)。もちろん、本当に思って言ってるんです。今回の撮影で現場の雰囲気を作る大切さがわかりました。
藤山 他にはスタイリストがモデルさんのお直しをするとき、モデルさん自身を見て直すんじゃなくて、PCのモニターを見て直さないといけないって気づきもありました。
―― 実際に紙面に掲載されて読者の目に触れるのはモニターに映し出されている写真ですもんね。
藤山 はい。直接見たときとモニターで見たときの違いって、結構あるんです。なかなか気づけないシワが画面だと目立って見えることもあります。これは、現場を経験できた今回ならではの気づきです。
「これから先に繋がる自信になった経験」
―― 『mini』とのコラボ授業を終えての皆さんの感想を教えてください。
梶原 1から自分たちで企画を考えて、リースに行って、撮影にも参加して、一連の流れがすごく多くて正直すごく大変でした。リサーチも含めると3ヶ月にもなる長い授業です。でも、そんな忙しさの中にも楽しさがあって。自分の経験になっていくのが実感できましたし、実際に形になったときには嬉しさでいっぱいになりました。これをひと月に何ページも作り上げるプロの方々の仕事量と熱意を改めてすごいと感じました。
藤山 企画段階では自分たちがファッション誌の1ページを作るっていうことに現実味がなくて、コーデがなかなか思いつかなかったり、上手く行かないことがあったり、悩むこともありました。自分のことで精一杯になったことも。けれど、授業が進んで少しずつ形になっていく企画を見て、自分の中で責任感がどんどん大きくなっていきました。これから先、「あのとき頑張って良かったな」って今回のことを思い出すことがあると思います。発売が楽しみです。
鈴木 このインタビューの最初にも話したとおり、私はずっと『mini』の愛読者だったんです。織田ファッションに入学することを決めた大きなきっかけのひとつに、『mini』とコラボ授業に参加したかったからというのがあります。憧れのファッション誌に自分のコーデが掲載されるように頑張りたくて。だから、その念願が叶ったのが本当に嬉しかったし、それが実現したことに達成感を感じました。すごいことですよね。自信になりました!