「違うなと思う進路は置いて、これだと思うファッションの道へ」
―― 金子さんがファッションに興味を持ち始めた時期やきっかけについて教えてください。
金子 中学生の頃です。足を伸ばせるようになった時期だったので、少し遠出して友だちと服を買いに行き始めました。最初はあまり考えずに直感で「これいいな」というものを買っていましたね。
―― 好きな系統が見えてきたのはもう少しあとの時期でしたか?
金子 高校に入学してからでした。アーティストの影響が大きいです。K-POPが好きで、彼らがMVやライブで着ている衣装に憧れて、それを真似するように服を選ぶようになっていきました。自分の中でこだわりが出てきたと言いますか。
―― それがファッション分野に進学したいという気持ちに繋がってくるのですね。
金子 はい。これまで自分が触れてこなかったことを学ぶのも違うなと思ったし、就職するにしても今自分ができることの中でやりたいことがないのでそれも違うなって。それなら一番興味があるファッションの専門学校に行きたいと思いまして。
―― なるほど。それもデザインの学科へ。
海からイメージを広げて海中で揺られる海藻の様子を上手く表現
金子 そうですね。絵で賞を獲ったこともありましたし、小学生の頃からモノづくりが好きで図工の成績も良かったんです。だったらもう、ファッションデザイナーを目指すのが自分には合っているんじゃないかと考えました。
―― 自分の好きなことと得意なことが組み合わさって見つかった目標ですね。
「ファッションの学校に入学して増えていった表現の引き出し」
―― そして今現在、ファッションデザインを実際に学んでいるわけですが、金子さんの好きな授業は何でしょうか?
金子 スタイル画の授業です。服を描くのはこの学校に入ってからだったので、最初に描いていた絵と今の絵を見比べると全然違いますね(笑)。描ける幅も広がってきましたし、ポーズの選択肢も増えていっています。先生の指導方法自体が、表現の引き出しを増やしてくれるような教え方なんですよ。
―― たった今学校選びをしている方にとっても参考になりそうですね。
シルエットでフレアにして変化を表しているのがポイント
金子 まず、自分の表現したいコンセプトや作品のイメージがあって、それを先生に見てもらうと「これをもっと活かすならこのパターンを取り入れるといいね」「そこで行き詰まってるんだったら、この技法を取り入れるのはどう?」みたいな。原案を大事にしてもらいつつ、自分の頭にないやり方を入れ込んでもらえる感じ。とはいっても、最終的に決めるのは自分ですし。
―― コツを掴ませてもらえるのかなと感じました。
穴の空いたアウターから垣間見えるグラデーションのインナーで人間の外面や内面の変化を表現
金子 そうですね。未経験から2年近く学んできて、自分は明確なコンセプトがあって描き始めることも、漠然とペンをとることも、今はどちらでも形にすることができます。例えば「溶岩」ってコンセプトで描こうだったり、海っぽい水辺っぽい何かしらを描こうだったり。上達は感じますね。
「世間の持つ印象には納まらない仕事内容。それでもファッションデザイナーになりたい」
―― 自分の表現したいイメージがあって、勉強もそれを広げるためのものっていうのは楽しそうです。金子さんのこれからの目標は何でしょうか?
金子 ファッションデザイナーになることです。織田ファッションには元デザイナーの先生がいて、外部デザイナーの方も来校されるので、現場でのお話を聞く直接機会が多くあります。そのときに、「デザイナーってこんな業務もやるんだ!?」「これもできなきゃならないんだ」って現実に驚くことがあります。揺れかけたことは正直ありましたけど、それでもやっぱり、自分はファッションデザイナーになりたいんですよね。
―― 強い意志を感じます。難しそうでもやってみたいと思える仕事は、楽しみながら頑張れそうですよね。
怒りと憎しみをテーマに、2色の赤を使い分けてより怖さを、ボコボコしたシルエットで禍々しさを
金子 だから今は、なるべくたくさんのアートを見て自分の目を養うことを心掛けています。もちろん、まだまだ理解しきれないものを見ることもありますけど、それもいつか自分のデザインに活かせるんじゃないかと思っています。
―― 斬新なアイデアが思いがけないところから引き出されることだってあると思います。
ステッチはシルエット同様に禍々しい明るめの赤、黒のトゲトゲは手で掴まれているように
金子 そうですね。先日、箱根ガラスの森美術館に行ってきましてどの作品もとても綺麗でした。いつか自分のブランドも立ち上げて、好きなテイストのファッションデザインを手掛ける仕事がしたいです。まだ勉強中ですし模索中ですが、赤が好きなので、絶対赤を取り入れた服を作りたいですね(笑)。
先輩が学んでいる学科
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