2018/12/05

学生×教員 スペシャル対談

自分の“好き”を形にしていくのは、楽しい!

学生と教員でありながら、後輩と先輩でもある2人の対談です。

大村 空 さん(右) [静岡県立 浜松東高等学校出身]/学生/ファッションテクニカル科1年生

平尾 ももこ 先生(左) [都立 大泉桜高等学校出身]/ 教員/ファッションテクニカル科1年 担任

※2018年12月5日(水)に行われたインタビューです。


「ひとつしかない服を作ってみたいと思うようになりました」

大村 ファッションやおしゃれ自体は小学校の頃から好きだったんですけど、具体的にファッション分野に進みたいと思ったのは高校2年生のときでした。

平尾 そうだったんだ。きっかけは何だったの?

大村 古着が好きになったことですね。古着の、ひとつしか存在しないっていう魅力に惹かれて、私もひとつしかない服を作ってみたいと思うようになりました。

平尾 誰とも被らない楽しさがあるよね。私もファッションの学生だった頃は、古着ばっかり着てたなあ。吉祥寺あたりに好きな古着屋さんがあって通ってたくらい。古着屋さんにはよく行くの?

大村 行きますね。古着屋さん巡りが好きで。でも、上京するまでは行きたくてもなかなか行けなかったです。地元の方にはお店あんまりなくて。

平尾 都内は多いんだけどね。

大村 そう。だから、上京してきて古着屋さんが身近にある環境は、めっちゃ楽しい(笑)

平尾 学校が中野って場所にあるのも、古着好きの人には良いよね。高円寺までは一駅だし、ちょっと足伸ばせば下北沢とか吉祥寺とかも全然行けるし。

大村 ですね。

平尾 そういえば高校生のとき、コーディネートコンテスト1に応募してくれてたよね?

1 コーディネートコンテスト…織田ファッション専門学校で毎週行っている、高校生を対象としたコーディネートコンテストのこと。

大村 はい。何度か応募してました。月間ベストもいただいて…。

平尾 そのときに着てたニットが、当時先生達の間で話題になってたんだよね。これ、一体どこで見つけてきたんだろうって。

大村 あれも古着ですね。

当時月間ベストを受賞した大村さんのコーディネート

平尾 次はどんなコーディネート送ってきてくれるんだろうって、いつも楽しみにしてました。静岡からオープンキャンパスに来てくれたときは、ついにあの子がって(笑)

大村 なんか恥ずかしいですね(笑)


「『もう十分じゃない?』って言っても、『いやあ、でも…』って(笑)」

平尾 元々ものづくりは好きだった?

大村 はい。手先を使った作業が得意なのもあって。自分のイメージ…。自分のデザインを形にしたいと思ってましたね。

平尾 毎回、テーマがしっかりしている作品を作る印象がありますね。この前授業で作ったワンピースとかもね。自分の“大好き”を詰め込んだ感じ。

大村 今まで作ったものの中で、いちばん詰め込みました(笑)

平尾 レトロな雰囲気で、カチューシャも含めて、フルコーディネートでプレゼンしてくれて。そういう服に対する思い入れとか、こだわりのデザインとかを、実際に着れる服に落とし込んでいるので、私も教えがいがあります。今着てるシャツも自分で作ったものだよね。

大村 そうなんです(笑)ステッチ2がどうしても納得できなくて…。

2 ステッチ…裁縫や刺繍の縫い方や縫い目のこと

平尾 何回もやり直してたよね。「もう十分じゃない?」って言っても、「いやあ、でも…」って(笑)

大村 自分では納得いかない!完璧にしたい(笑)

平尾 そういうところが、世界観がブレないことに繋がってるのかな。


「自分のイメージ通りにちゃんと形にしようっていう意識が伝わってきます」

平尾 ポイントを抑えて、黙々と作業していくタイプだよね。超集中してるって感じ(笑)

大村 わからないことがあったら、すぐに聞いてます(笑)

平尾 でも、まずは自分で考えて聞きに来てくれる。だから、使いたい素材はこれで、こういう形にしたくて、っていうのがわかる。じゃあ、そのためにはどう素材を使えばいいかとか、どうすればこういう形になるのかっていうのを、一緒に考えていこうってなる。

大村 うんうん。

平尾 今ジャケット作ってるところを見てると、曲線がマイブームなのかなって思ったりね(笑)

大村 曲線、キテますね(笑)

平尾 ストイックなところがあって、自分のイメージ通りにちゃんと形にしようっていう意識が伝わってきます。

大村 期待されてる感じがちょっと、こわい(笑)

平尾 今後楽しみですね…(笑)


「描くのも作るのも、成長してるなって、自分で(笑)もっと頑張ろうって」

大村 服を作る授業はもちろん、スタイル画3の授業も楽しいです。色塗りも、最初は全然コピック4が上手に使えなくて、自分の思うようなものがあまり描けなかったんですけど、回数を重ねるごとに、自分でも「上手に描けたな」って思うことが多くなって。

3 スタイル画…服をデザインし、構築していく際の基礎となる絵のこと

4 コピック…株式会社Tooが販売するアルコールマーカー。織田ファッションのスタイル画の授業で使用している

平尾 もうそろそろ入学して1年ですが、実感できることが増えてきた頃なんじゃないかな。

大村 はい、めちゃめちゃ(笑)

大村さんが描いたスタイル画

平尾 慣れてくると、「結構自分できるじゃん」って。

大村 最近はそう!描くのも作るのも、成長してるなって、自分で(笑)もっと頑張ろうって。洋服の基礎から勉強して、少しずつわかってきたのかな。

平尾 デザインするときも、仕様を考えながら描いて、パターン5を引いて、縫製でそれを実際の服に仕上げることを繰り返すと、自然に感覚を掴んでいくんだよね。2年生になると、扱う素材が違うし、自分で考えて作業する授業が今よりも増えるんだけど、それも楽しさになると思います。

5 パターン…平面のデザイン画を、立体物として成り立たせるための服の設計図、型紙

大村 今はコットンとウールの基本素材が中心ですよね。もっといろんな素材を使いたいなと思ってます。素材感も考えながら作れるようになりたいなって。楽しみです。

平尾 まだ使ってない気になる素材もあったりして(笑)

大村 ありますね(笑)


「学校行事の中で自分の好きなことをやらせてもらえるのは、楽しいです」

平尾 そういえば、この前の学園祭楽しんでたよね。

大村 楽しかったです!グループで作った子ども服をフリーマーケットで販売したり、ハロウィンパーティではみんなの前でダンスしたり。

グループで製作した子ども服

平尾 ファッションの話からは逸れちゃうんだけど、ダンス本当に凄かった!他の先生達もびっくりしてたよ。いつの間に練習してたんだろうって。

大村 友達からも良い反応もらえて、嬉しかったです。

平尾 元ダンス部だったのは聞いてたけれど、専門学校進学してまで踊ると思ってた?(笑)

大村 まさか(笑)思いもしなかったです。

平尾 はじめたのはいつ?

大村 小学校のときですね。中学で間が空いたんですけど、高校進学を考えたときにまたやりたくなっちゃって、ダンス部がある高校を選びました。

平尾 全国レベルの大舞台でも踊ってたんでしょ?

大村 まあ、はい(笑)

ハロウィンパーティ 右で踊っているのが大村さん

平尾 やりたいって言えば、学校行事の中でまた踊れる機会はいくつもあると思うから、そのときは是非ね。

大村 そうですね。学校行事の中で自分の好きなことをやらせてもらえるのは、楽しいです。

平尾 ダンスは、ファッションとも関連性の強いジャンルだよね。いろんなところで、良いアピールポイントになるんじゃないかな。


「自分と向き合うことが大切なのかなと、私は思います」

大村 もっと早く作業ができるようになればなって思うことが多いんですよね。良いもの作ろうと気にしすぎちゃうと、丁寧には作れるんですけど、進みが遅くなってしまうのが悩みです。

平尾 心配になっちゃうんだね(笑)

大村 そうなんです(笑)丁寧、かつスピードも上げられたら、いいのになって思います。

平尾 焦る気持ちありますよね。周りには高校時代から服飾の学科にいて、3年間長くやってきてる子もいるから。どうしても比べてしまう。もうあんなところまで進んでるって。

大村 周り気にしちゃうから。作業が早い子を見ると、自分も早くしなきゃって思っちゃう(笑)

平尾 他の人を意識してしまうのもそうなんだけど、自分と向き合うことも大切なのかなと、私は思います。

大村 (頷きながら聞いている)

平尾 自分が今どこまでのことができるのかを、正しく知って、小さい目標を立てて少しずつこなしていく。例えば、この部分の作業を10分で丁寧にクリアしようって決めて、実際にかかる時間をストップウォッチで図ってみるだとか。そういう小さい目標を乗り越えていくと、これもまた自然に上達していくんだと思いますよ。

大村 そうですよね。

平尾 ま、早い人がいるから、自分を引っ張っていけるっていうのもありますけどね。まあまあついていってる自分のことも褒めてあげて。

大村 いい感じに周りに刺激があるから(笑)

平尾 早くて綺麗に仕上げるペースメーカー的な子がいるもんね(笑)いい意味でのライバル関係みたいな?

大村 私も頑張らなきゃって思います。盗めるところは盗んでいきたい(笑)

 

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